チョン・ソミンの健闘に胸を撫でおろしたのもつかの間、また新たなヒロイン不安
後発のコ・ユンジョンを輝かせる巧みな構成と演出で、これまでの伏線をわかりやすく丁寧に紐解く見事なまとめ上げ
あらかじめ決められていたようなラストに導かれる最終話は予想外のクライマックスに圧巻
キスシーン
ふたつの魂が入ったブヨンの体。
無垢なはずのブヨンに垣間見る小憎らしいおマセさはムドクの片鱗とみていましたが、こうして振り返ると、天真爛漫さはナクスの記憶を失った本来のヨンの姿であったように思われます。
ブヨンの魂は鎮妖院の小物たちと、ふたりを惹きつける神力だけに徹していたよう。
と解釈すると、私が見たかったヨンとウクの恋物語を序盤から見せつけられていたことになり、よい意味で裏切られていたのかも。
3話
ブヨンからの証人キス。
「チャン・ウク」の呼び声が本当にチョン・ソミンとそっくり。
体に縫い込まれた追躡糸で苦しむブヨンを放っておけない、ぶっきらぼうなウクが可愛らしい。
4話
添い寝するするブヨンへ魂に導かれるようなウクからの温かいキス。
シーズン1の4話でも寒気が巡り、ムドクに添い寝で温めてもらっていたウク。
同じコミのOSTが流れていてことからも、ブヨンと知りながらもムドクが重なり、思わずキスせずにはいられなかったのでしょうね。
ここでも鬼気を払ってウクの安らぎの眠りを与えたのは、ブヨンの神力。
7-8話
やっと自分の気持ちに気付き、精進閣に駆け付たウクからの告白キス。
かつては叙事的にムドクに告白しまくっていたウク。
すべてを諦め寡黙に生きてきたウクが必死に口説く久々の長台詞は感慨深し。
ここでもまた鎮妖院から贈られた明かりがキーワードに。
8話に続く壁ドンキスでは、シーズン1での2人の甘いシーンを彩ったキム・ナヨンのOSTが流れ、記憶は戻っていないものの、ムドクの時に内に秘めていたウクへの感情が爆発したようにも。
実に艶めかしくも美しいシーン。
のちに記憶が戻った時に放った「내가 더 많이 좋아했었는데(私のほうが好きだったのに)」がせつな過ぎ。
9話
かつてふたりが過ごしたタニャン谷の家での相思相愛キス。
感情の赴くままに演じたというシーンですが、少し戸惑うブヨンことナクスが可愛らしい。
ウクをタニャン谷に呼んだのも、やはり鎮妖院の陰陽玉でした。
キャスト
- イ・ジェウク(ウク)
シーズン2までの1週間は口にするのを控えていただけあって、ムドクを失い氷の石を抱え生かされる悲壮感、凛としたたたずまいがよりリアルに。 - ミンヒョン(ユル)
最後まで顔色悪く心配しかなかった。ナクスとソイ、身近なふたりの女性を失うある意味一番数奇な運命。 - シン・スンホ(世子)
悪党になりきれない、相変わらずウク大好き男子。いつもオイシイ場面にあらわれ、亀をも可愛がる大男。 - ユ・インス(ダング)
一途にチョヨンを愛し続けるちょっと頼りない総帥。元さやにおさまり何より。 - アリン(チョヨン)
父を失って一番成長した感じ。まさか双子を産んじゃうとは。 - ユ・ジュンサン(松林元総帥)
隠居生活のわりには存在感大き過ぎ。シリアスもコミカルも独特さは相変わらず。イ先生の次はウクがライバルでした。 - オ・ナラ(キム・ドジュ)
どんな相手ともケミが抜群の天才女優。しかも華があるんだよな~。一途にウクを愛しながら、ジンをかわす姿がたまらない。 - チョ・ジェユン(チン・ム)
神力と氷の石を得たふたりには、もはやライバルにもならない存在。あっけない終焉のおかげで、他のストーリーが輝きました。 - イ・ドギョン(繐竹院院長)
悪役のイメージが強かったので、おとぼけ老いぼれ感がとても新鮮かつキュート。いつもイ先生にジンと比べられるもめげない感じがイイ。 - パク・ウネ(鎮妖院院長)
融通きかない女狐のようで、ソルランの末裔とは思えなかったが、最後はよきママになれてよかった。ウクに一番助けられた人かも。 - イム・チョルス(イ先生)
現代版のソ・ギョン先生というべくすべてを俯瞰、ブヨンことチン・ソルランと共に世を平安へと導く大きな存在でした。 - ホン・ソヒ(ユノク)
ユルと同じようにウクには裏切られまくりですが、言動はユルとは正反対。嫉妬心では松林の中では一番人間じみていたのかも。 - ソ・ヘウォン(ソイ)
命も懸けられるユルへの想いはホンモノ。結ばれなくてもユルのそばにいさせてあげたかったかも。 - ト・サンウ(ユル叔従父)
意外に出番少なくアレレでしたが、最終話にはなくてはならない存在でした。
シーズン2の撮影までブランク1週間ほどなのに、皆が驚くほどにガラリと雰囲気が変わったことに驚き。
衣装も成長に合わせ大人っぽくシックに、前以上に生きていてはいけない存在と化したウクのたたずまいもモノクロになったことで、後発のユン・ユジョンがより輝いて見えました。
ウクが主演だったシーズン1に対し、シーズン2はヒロイン重視の演出になったことで、より惹きつけられた感じ。
ヒロインは丸ごと変わりましたが、イ・ジェウクもシーズン1とは異なるキャラが見られて、オトク感が大きい。
ウクの12番目の師匠ウ・ヒョンは、チン・ムより憎らしくなるほどにウザかった。
唯一の不安要素でもありましたが、チョン・ソミンのナクス像を見事に引き継いだコ・ユンジョン。
シーズン1のムドクの心の声のナレーションは、コ・ユンジョンが担当。
舞台裏でナクスを予習していたとはいえ、序盤から放つオーラに驚かされました。
チョン・ソミンは、急遽ヒロイン降板の穴を埋めるに、監督つながりでオファーされたのかな、としか思っていたのですが、コ・ユンジョンとの声質も配慮してのものだったとしたらスゴイ。
凝縮されたような10話の中で、全く迷いなのない演じ分けは、終始圧巻でした。
演出・脚本
全30話の大作は裏切らず、ホン姉妹史上最高傑作で終了。
シーズン1から、キャストもほぼ一緒なのに、全く別物のように楽しめる新鮮さ。
シーズン2はサブタイトルに「光と影」が加わり、より陰陽説を意識せざるを得ないストーリーに。
物語全体が輝く光ウク(煌)とヨン(影)の陰陽関係で構成されていますが、3年後の設定で描かれるシーズン2も、シーズン1と陰陽関係にあるようにさえ見えるから不思議。
シーズン1では物足りなかった陰陽玉が本領発揮、亀の登場も何とも東洋ファンタジーっぽくて素晴らしい。
含みあるラストも予想したけれど、予定調和のようなラストに向かって、これまでの伏線を丁寧にわかりやすく回収していくさまがお見事。
ゆえにクライマックスと思われたチン・ムとの戦いは、チャンバラもなくあっけなく終焉。
そのおかげで、サブストーリーもたっぷり魅せられたことで、非常に満足度の高いエンディングに。
むしろ氷の石と神力を手にしたふたりには、チン・ムごときは戯れ事で、その先あるもっと大きな力と戦うクライマックス。
ジンとドジュの命懸けのロマンス、チン・ホギョンの鎮妖院院長としての気高さ、ダングやチョヨンなど元鞘に収めるだけのシンプルなロマンス整理。
そして何より、ヨンとしてウクと婚姻したのが嬉しい。
お互いの手が指輪な欲のないふたりの盃だけのシンプルな結婚式。
証人も物語の中で一番宇宙的大きな存在、イ先生のみっていうのも最高にシンプルでよし。
ナクスの記憶復活にだけとらわれたシーズン2ですが、かつて命懸けの恋をしたソ・ギョン先生&チン・ソルランの時を超えた壮大計画に、翻弄されるウクとナクスのお話だったのかもしれません。
とにかくホン姉妹の世界を最後までブレのないCG演出で描ききったパク・ジュンファ監督。
素晴らしい脚本、キャストが揃っても、燦然と輝く映像美と編集力なしでは、ここまでの充実感はありえない。
いつも見返したくなるほどに素晴らしいホン姉妹の作品ですが、今回はシーズン物ゆえに本当に見返してしまうかも。
OST
新たに加わったOSTも相まって、展開していくシーズン2。
いくつもの魂、記憶が混在するブヨンを輝かせる、多彩なOSTも素晴らしかった。
シーズン1でユルのテーマ曲だったチョン・セウンのOSTを編曲、歌詞を変えてユル本人に歌わせてしまうナム・ヘスンの心憎さ。
Car the gardenが歌うメインテーマ、シーズン2のラストで流れる頃には、もはや耳にするだけで胸が熱くなる。