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【解体新書①】美術小物で検証するハッピーエンド『夏花』

とにかく映像美にかまけて、ひた走って視聴していたけれど、終盤で伏線回収しなければいけないことにやっと気づき、とうとう結末で焦るはめに。

独特の色彩だけでなく、いろんなところに散りばめられた伏線も、ウォン・カーウァイばりに秀逸だった。

というわけで、二転三転したラストの解釈ですが、久々に解読してみたい作品に出会ったので、自分なりの解釈をまとめてみました。

ラストは夢か現実か

鍵を握るのは、ラストの小州村のシアオ・ハンのお家からエピローグにかけての

  1. 2匹の魚
  2. 猫と金魚
  3. 歯ブラシセット

から、ふたつの解釈が生まれました。

  1. ランが舞い戻り幸せに暮らしましたとさ
  2. 最後の女性ランを想いながら幸せに暮らしましたとさ

はじめは、①ランが舞い戻り幸せに暮らしましたとさのハッピーエンドだと思ったのですが、日が経つにつれ、もしやエピローグはシアオ・ハンの幻想または夢で②最後の女性ランを想いながら幸せに暮らしましたとさなのではないか、ともやもやしはじめてしまいました。

①と解釈した理由

ランとシアオ・ハンのような2匹の魚が仲良く遊泳しいて、ザオザオと金魚も健在、歯ブラシセットも置かれていたこと。

一緒に暮らしているランが、仕事中のシアオ・ハンに、いたずらっぽく会いきた。

②と解釈した理由

「戻らない時は魚を1匹飼って美しい名前を付けて欲しい」とのランの願いに、「魚は2匹飼うから一緒に名前を考えよう」と返したシアオ・ハン。

2匹の魚はいれど、ランが戻り一緒に名前をつけた保証はない。

ランと別れた時は、ランの身代わりともいえる金魚をいつも飼っていたシアオ・ハン。

ザオザオと金魚の存在は、実は永遠にランに待ちぼうけを食らっている証なのかも。

何より、歯ブラシセットが生活感なさ過ぎるし、ランの呼び声と姿はシアオ・ハンのお昼寝の幻想なのでは。

ラストはハッピーエンドなのか

いずれにせよ、とらえ方次第では、①②どちらの解釈でもハッピーエンドともいえます。

しかし、どちらもいまいちピンと来ないまま、悶々としていたのですが、やっとしっくりきたのが③の新解釈です。

ラストは幻想ではなかった

ホー・ランが帰ってくる日だった

はやる気持ちを抑えながら仕事にでかけるシアオ・ハン

2匹の魚は、これからはじまる完治したランと、シアオ・ハンの仲睦ましい暮らしの象徴。

以前購入した病気の1匹が完治し、ランとの約束通りもう1匹買い足した。

かつてはランの死を連想させた金魚やザオザオ(猫)も、ここでは中国ではめでたいものとされる金運や長寿の象徴。

むしろ今も変わらぬ穏やかなシアオ・ハンの日常を演出。

真新しい歯ブラシセットと共に、ランの帰りを待っている。

と考えると一番納得がいきました。

物思いにふけながら仕事に出掛けるシアオ・ハン。

久々の呼び声に少し不思議そうに振り返るシアオ・ハン。

そして、待ちに待ったランが目のあたりにし、自然と顔がほころぶシアオ・ハン。

ジェリー・イェンの内面演技にも納得がいきます。

優曇華の花

ランの賭けにも使われた、3000年に一度しか見られないという優曇華の花言葉は「滅多にないこと」。

吉兆、凶兆、どちらの意味もあるようで、ガーベラの絵の真実 を知り、優曇華の開花に涙するシアオ・ハンの姿は、一見ランの死を連想させますが、前述の流れからまだ闘病中の想って涙していると捉えました。

ランの賭けを実らせた優曇華は、やはり吉凶だと思うので。

まとめ

いずれの解釈も、とらえ方によってはハッピーエンド。

私なりの解釈ですが、もし答えが見つからず悶々としている人がいたら、参考にしてみて下さい。

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