
「あなたが眠ってる間に」をオ・チュンファンと共同演出したパク・スジン監督のデビュー作
「ロマンスは別冊付録」より先に視聴したかったが、期待と不安が大きく思わず後回しにしてしまった作品
シン・ヘソンがヒロインなのは意外でしたが、イ・ジョンソクもイ・ジフンも皆「揺れながら咲く花」メンバー
イ・ジョンソクとシン・ヘソンのケミが予想以上によかった
キスシーン
最終話
投身直前に2人が交わす最初で最後のキス。
キスシーンがなくても、いつも熱く艶めかしいウジンとシムドク。
決まりきった結末なのに最後まで気になったのは、2人のケミのよさと映像美でした。
キャスト
イ・ジョンソク
キム・ウジン役は序盤から台詞よりも、表情演技が続くなかなか難しい役どころでした。
アナログ感や作家という役どころは「ロマンスは別冊付録」に通じるものがあり、よい流れで最高傑作が誕生したように感じました。
相変わらず私の批評とは裏腹に、演技評価の高いイ・ジョンソク。
特に序盤の秘めた思いを口に出来ないウジンには、これまでにはないイ・ジョンソクを見ることができました。
確かに感情高ぶる表現や、内に秘める表情演技は、格別に上手くなっているのを感じましたが、間の取り方はまだちょっと惜しさが残ります。
イ・ジョンソク作品の感想は、自分でも驚くほどにいつも辛口になってしまいますが、まだまだ期待しているということなのでしょうね。
シン・ヘソン
「黄金の私の人生」「30だけど17です」と一気に主演女優となったシン・ヘソン。
ヒットメーカーのイ・ジョンソクとの共演にも驚きましたが、ソプラノ歌手役だけに「歌は大丈夫なのか」と変に心配してしまいました。
涙シーンでは格別のオーラを放つ女優さんですが、シムドクの強さと弱さ、美しさは、イ・ジョンソクをも上回るほどの輝き。
貧しいながらも気高さは忘れず、ウジンの前では素直になれるシムドク。
超美人でもなくフツーっぽいのに、妙に艶っぽく美しい。
プラトニックな時代設定だけに、いつも感じるシン・ヘソンマジックがより際立っていたように思いました。
イ・ジフン
「揺れながら咲く花」以来、イ・ジョンソク、シン・ヘソン、イ・ジフンが再共演することでも話題となった「死の賛美」。
チョン・スジンやイ・イギョンらの方が鮮烈で忘れていましたが、だからシン・ヘソンやイ・ジフンの主演作も気になっていたのかと納得。
金八先生のような学校シリーズの「揺れながら咲く花」ですが、キム・ウビンやパク・セヨンなど今をときめく主演俳優が多数出演しており、今考えてもかなり豪華な顔ぶれでしたね。
序盤は三角関係で進むのかとも思いましたが、意外に少ない出番でした。
イ・サンヨプ
「あなたが眠っている間に」では、イ・ジョンソクと敵対気味だったイ・サンヨプですが、今作ではシムドクの婚約者として出演。
イ・ジョンソクもイ・サンヨプも顔がむくみ気味で、せっかくのいい男がもったいない。
かなりスケジュール的に忙しい中の撮影だったのでしょうか。
他にもキム・ウォネ、ファン・ヨンヒ(シムドクの両親)、シン・ジェハ(シムドク弟)、女装姿も披露したオ・ウィシクら、「あなたが眠ってる間」の再集結も見どころでした。
演出・脚本
日本植民地時代の実話を元にしたデリケートな作品にも関わらず、短編ドラマに対する愛情、監督との信頼関係でイ・ジョンソクは出演を快諾。
パク・へリョン脚本家に見出されたイ・ジョンソクが、パク・スジン監督を支える名優に成長したことを感じさせる作品でもありました。
「シカゴ・タイプライター」や映画「情愛中毒」のような自由恋愛が許されない時代背景。
ウジンとシムドクの絡み合う視線、表情、触れ合っていないの胸を熱くする演出。
信頼できる俳優さんでなければ、なかなか撮れない台詞なしのシーンも多く、「あなたが眠っている間に」の結束力もみえました。
キム・ウジンにこれほど焦点を当てた作品はなかったようですが、ウジンとシムドク両者の苦悩を丁寧に描いたことによって、2人が選んだ結末を短編でもより明確に理解できた気がします。
ハッピーエンドともサッドエンドともいえる結末。
悲話なのにどこか温かさを感じる素敵な作品でした。