極上のユ・ボラ脚本もOSTで惨敗-『あなたに似た人』ストーリー感想

「あなたに似た人」ストーリー感想

ストーリー評価 

ネタバレにご注意

ユ・ボラ脚本の新作で気になりながらも、コ・ヒョンジョン主演といつも以上に重めの雰囲気に、すぐには飛びつけなかったのですが、名演技と謎解きに見始めたら止まらない。

最後はひそかに悪が成敗されるような清々しさ持つユ・ボラの脚本。
終盤のジェットコースターぶりからの見事なまとめ上げ。

誰かを憎むことを糧として生きる愚かさ、善人であり続けようとする愚かさ。
本当に相手のためを思っての言動の難しさ。
ヒジュとヘウォンの善悪二元論に惑わされますが、実際は絶対的な加害者、被害者はありえなく、誰しも誰かを傷つけ、傷つけられながら生きているという現実。
一見、棘がありそうな主人公たちにもどこか共感を持てるのは、いつも表面上ではわからない心内を見透かす、神のおぼしめしのような結末だからかもしれません。

パートナーの過ちゆえに新たに生まれる、バー店主やヘウォン、ヘウォン母の新たなご縁。
悪縁さえも良縁へ転ずる様で、人間が欲と執着で生きる虚しさ、愚かさを、まざまざと見せつけられる数々のエピソード。

情事にばかり目が向けられがちですが、実は母親たちのストーリーでもありました。

不倫相手との日々を彷彿させる息子を受け入れがたい母親、罪滅ぼしのように娘を可愛がろうとする母親、息子の死を受け入れられず許しがたい母親、DVの屈辱に耐えながら息子を守ろうとする母親、この世に生を受けたかもしれない我が子に対する懺悔。

ジュヨンを可愛がるヘウォンの真の目的を知った時の衝撃。

困難を乗り越える強い女性像はそのままに、「秘密」「ただ愛する仲」とはまたひと味違った、愛、憎しみ、許しがそこにはありました。

キャラ一人一人の視点に立ち、丁寧に描くさまはも相変わらずで、ユ・ボラに感服するばかりですが、そんな心理描写を繊細かつ美しくまとめ上げたのはイム・ヒョヌク監督。

一見、暗すぎで「眩しくて」の二の舞になりそうな不安もあったのですが、控えめなトーンの中にも光る美しさがありました。

イ・ウンボクキム・ジンウォンに続き、よい演出家さんとのご縁がありがたい。

しかし、コ・ヒョンジョン×ユ・ボラ脚本でも、思うように視聴率が伸びなかったのは、怖すぎるメインOSTのせいもあったのかと。
同じトーンでも、もっとキレイなピアノの旋律で仕上げることもできただろうに。

映像だけでなくあのOSTだと、ティーザーからワクワク度は半減、入口からつまづくことになる。
実際、視聴がかなり先延ばしになってしまったし、OSTでつまづく作品にもたまに遭遇しますが、演出トーンだけでなく、OSTの持つ影響力も改めて思い知らされました。

脚本、演出は申し分ないのに、OSTでまさかマイナス。
ちょっと残念ですが、また名台詞が生まれそうな、次回ユ・ボラ脚本に期待せずにはいられない。

STORY

Posted by fan