お茶の間を沸かせた『愛の不時着』VS『ザ・キング』

2020-07-10

世界的大ヒット、パク・ジウン脚本家の「愛の不時着」。
期待はずれでわかりにくいと視聴者評価がイマイチだったキム・ウンスク脚本家の「ザ・キング」。
世間の評価とは相反する個人的感想をまとめてみました。

ネタバレ箇所もあるのでご了承下さい。

脚本家

  パク・ジウン キム・ウンスク
2010年 逆転の女王 シークレットガーデン
2012年 棚ぼたのあなた 紳士の品格
2013年 星から来たあなた 相続者たち
2015年 プロデューサー  
2016年 青い海の伝説 太陽の末裔
トッケビ
2018年   ミスターサンシャイン
2020年 愛の不時着 ザ・キング

二大脚本家といわれるキム・ウンスクとパク・ジウン。
常に比較の対象とされてきた2人で、お茶の間的には圧倒的に「愛の不時着」でパク・ジウンに軍配でしたが、「トッケビ」に続きキム・ウンスクがどんなファンタジーを書き上げるのかも、興味深いものがありました。

熱愛報道も堪えない、映画「ザ・ネゴシエーション」と続けて再共演のヒョンビンとソン・イェジン。
どちらもキム・ウンスクと再タッグとなるイ・ミンホとキム・ゴウン。
脚本家×主演の豪華キャストも放送前から話題となっていました。

主演俳優

  ヒョンビン イ・ミンホ
パク・ジウン 愛の不時着 青い海の伝説
キム・ウンスク シークレットガーデン 相続者たち
ザ・キング

ヒョンビンとイ・ミンホは、パク・ジウンとキム・ウンスクのどちらの脚本家とも過去にタッグを組んでいます。

「愛の不時着」「シークレットガーデン」と、どちらもブレイクしたヒョンビンに比べ、「青い海の伝説」「ザ・キング」ともに、予想以上のヒットには至らなかったというイ・ミンホ。
イ・ミンホへの期待が大き過ぎるという結果のようにも思われ、イ・ミンホの人気ぶりがうかがえます。

軍人らしく鍛え抜かれた容姿で登場した「愛の不時着」のジョンヒョクことヒョンビン。
「シークレットガーデン」の頃は、ゴリラのような歩き方が苦手だったのですが、すらりとした後ろ姿がとにかく目を惹きました。
ポーカーフェイスで心情を表現するむず痒さ、天然過ぎるまっすぐさが笑いを誘うロマンス。
ヒョンビンのうまさが光り、ジョンヒョクの魅力を最大限に引き出した脚本に仕上がっていました。

「愛の不時着」に続いて発表になった「ザ・キング」。
イ・ミンホとキム・ウンスクの再タッグ、除隊後復帰作、ヒロインはやはりキム・ウンスクと再タッグのキム・ゴウンと、こちらも放送前から話題に事欠かなかった「ザ・キング」。

お茶の間にはいまひとつウケが悪かったようですが、イ・ミンホの新たな俳優人生のはじまりを、白馬で迎え入れる脚本は、確固たる地位にあるキム・ウンスクだからこそできる神業。
「これまでのキャラの延長」などよい評があまり得られていませんでしたが、あえて同じような王子キャラ設定することで、イ・ミンホの成長ぶりも表現したかったように思います。
現に皇帝イ・ゴンは、「相続者たち」のキム・タンとは全く違う、気品に満ちた大人の魅力あふれる王子様。

どちらの作品も男性主人公はぴったりのキャスティングでした。

主演女優

  ソン・イェジン キム・ゴウン
パク・ジウン 愛の不時着
キム・ウンスク トッケビ
ザ・キング

パク・ジウンは、女優さんの魅力を最大限に引き出すのがうまい脚本家ですが、ソン・イェジンとは初めてのタッグ。
これまで、キム・ナムジュやチョン・ジヒョンを何度か起用し、「逆転の女王」や「星から来たあなた」などをヒットさせています。
「この女優なしではこのドラマは語れない」ほどに大きな存在感を示すパク・ジウンのヒロインたち。

しかし、「愛の不時着」のユン・セリには、ソン・イェジンでなければいけない理由がイマイチ感じられず、むしろ「チョン・ジヒョンの方がしっくりきたのでは」と思える台詞やシーンが多々ありました。
マンネリ化したようなソン・イェジンの演技にも、新鮮さを感じられずとっても残念な仕上がり。
特に第5中隊のチスや、舎宅村の女性とのコミカルなやり取りは、楽しんでいた人も多いと思いますが、ほかの女優さんのほうがもっと映えたはず。

ソン・イェジン自体がまずいのか不安になったのですが、その後に鑑賞した映画「Be With You」はとっても良かったので、キャスティングミスといえるほどに、ユン・セリ役はソン・イェジン向きではなかったように思えました。

キム・ゴウンは「トッケビ」に引き続いてのキム・ウンスク作品への出演。
「トッケビ」のウンタクとは、全く違った「ザ・キング」のテウル。
大人っぽく成長したキム・ゴウンの魅力がいっぱい詰まり、場面によってはイ・ミンホより輝きを放つ、キム・ゴウンに魅せられました。
言葉なく泣くシーンも多かったですが、その場だけ見ても心揺さぶられる美しい泣き顔は圧巻。
イ・ミンホも今一番共演してみたかった女優と話していましたが、イ・ミンホをあれほどしっかり受け止められる力量は素晴らしく、キム・ウンスクにとっても最高のキャスティングだったと思います。

ヒロインを活かしきれなかったパク・ジウンと、前作とはまた違った魅力を引き出したキム・ウンスク。
ヒロインの輝きには、かなり大きな差を感じました。

ストーリー

南北の引き裂かれるような恋を描いた「愛の不時着」と、パラレルワールドを舞台にしたファンタジーロマンスの「ザ・キング」。

どちらも全く違う世界に住む男女のロマンスという点は共通していますが、韓国ドラマ初心者にはハマりやすい「愛の不時着」と、ちょっと上級向けの「ザ・キング」。

「愛の不時着」は、知られざる北朝鮮の生活事情を垣間見る新鮮さ、多くの出演者でコミカルに築かれる人間関係など、先の見えるわかりやすい王道ドラマ。
豪華なカメオ出演やエピローグを巧みに用いるパク・ジウンワールド全開のストーリー。

一方の「ザ・キング」は、パラレルワールドという馴染みのない世界の説明、一人二役で2つの世界に住む相反する人物を演じる出演者1人1人の役割が大きく、より巧みな展開や演出が要されるストーリー。

わかりやすいラブコメよりも、少しシビアなしっとりとしたのロマンスに移行しつつあるキム・ウンスクに、まだまだ時代がついてきていないようにも思えました。
イ・ミンホにシンプルな甘いロマンスを求めた視聴者には、ちょっと受け入れがたかったのかもしれません。

さほど頭を使わずに笑って楽しめるラブコメと、ちょっと脳を回転させる必要があるシリアスファンタジー。

個人的には先に見える「愛の不時着」よりは、知らぬ間にグングン引き込まれる「ザ・キング」のほうが魅力的でした。

演出

愛の不時着 ザ・キング
イ・ジョンヒョ ペク・サンフン
チョン・ジヒョン

「トッケビ」「青い海の伝説」以来の二大脚本家対決だけに、脚本家だけに注目され気味ですが、ドラマ比較には演出家の存在もかかせません。

「愛の不時着」を演出したイ・ジョンヒョ。
イ・ジョンソク主演「ロマンスは別冊付録」ではとっても自然体な映像が印象的だった監督さん。
しかし、「愛の不時着」は突っ込みどころ満載で、とにかく間の悪い演出が目立ちました。
例えば、南北で離ればなれになるセリとジョンヒョクの別れのキスや、ジョンヒョクの代わりにセリが撃たれるなどのラストシーン。
見せ場を意識し過ぎる長すぎる尺の演出は、興醒めしてしまうほどにあまりにも不自然。
間延びしたエンディングは、エピローグなどパク・ジウンの脚本に助けられていた部分はありますが、演出しだいではもっと素敵に作品になった気がします。

「ザ・キング」は、「太陽の末裔」以来キム・ウンスクともタッグを組んだことがある、ペク・サンフンとチョン・ジヒョン。
情景美と唯一無二のカメラワークで、何気ないソウルの町並みですらとにかく美しい。
「愛の不時着」も素敵なスイスの情景が多いですが、ペク・サンフンらが撮ったらば、もっと美しく仕上がっていたはず。
景色だけだけでなく、キャストたちもとっても美しく、フェードアウトやインも全く不自然さがない。
いつも斬新な演出に驚かされるばかりで、「愛の不時着」とは違うキレのあるエンディングも魅力のひとつでした。

「ミスターサンシャイン」もそうでしたが、血生臭い場面も不思議と美しく描き出す映像マジック。
キム・ウンスクの脚本は「太陽の末裔」以降、映像の魔術師たちとタッグを組むことで、より生き生きと輝いてきました。

演出面でも「愛の不時着」は残念さを否めません。

まとめ

脚本のうまさを感じるほどに、ヒロインと演出にがっかりすることも多かった「愛の不時着」。
前作とは違った主演2人の魅力を最大限に活かした脚本と、それをより鮮明に映し出す映像美が素晴らしかった「ザ・キング」。

「愛の不時着」ばかりが取り沙汰され、メディアのあり方も感じずにはいられない対決でしたが、期待していたソン・イェジンがイマイチだったのは痛く、マスト俳優でなかったイ・ミンホがより輝いて見えたのには驚きました。

視聴前の期待の大きさが、作品の善し悪しを決める大きな要素であることも改めて感じました。
どちらも放送前から話題となっていましたが、ヒット続きのキム・ウンスクと、除隊後初のイ・ミンホへの世間の期待が、より大きかったようにも思いました。

個人的にはやはり「ザ・キング」のほうが、見応えはありました。

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Posted by fan